• 上肢の障害

肩腱板損傷

1.肩腱板とは
肩腱板は、①棘上筋腱、②棘下筋腱、③小円筋腱、④肩甲下筋腱の4つの腱で構成されます。
肩腱板は、腕を回したり、上げたりする運動を補助する役割を担います。

 

2.受傷原因
肩腱板損傷は、転倒して肩を強打した場合によく起こるもので、バイクや自転車の事故で多く見られます。
肩腱板損傷で多いのは棘上筋腱の損傷です。

 

3.症状
肩の腱板を損傷すると、痛みや肩関節の可動域制限などの症状がよく見られます。

 

4.治療
腱板が完全断裂している場合は、外科的手術を選択することがあります。ただ、加齢により腱が退行変性していることも多く、手術が適応となるかどうかは年齢にもよります。
部分断裂の場合は、保存的治療が選択されるのが一般的です。

 

5.後遺障害の認定
可動域制限がある場合 → 機能障害
可動域制限の程度に応じて、以下のように後遺症の等級が定められています。
10級10号・・・可動域が2分の1以下に制限されている場合
12級6号・・・可動域が4分の3以下に制限されている場合
可動域制限がない場合 → 神経症状
可動域制限はないものの痛みが残っている場合、神経症状として12級か14級になります。
12級13号・・・神経症状が他覚的所見により立証できるもの
14級9号・・・神経症状が他覚的所見により立証できないもの

 

6.腱板損傷の検査
① MRI
断裂が残っている場合、MRIの画像(T2強調画像)で断裂した部分が高信号を示しますので(白くなる)、確認することができます。
② 関節造影検査
関節に造影剤を注入し、CTなどを撮影して造影剤の漏れを確認する検査です。腱が断裂している場合、造影剤が漏れているのがCTで確認できます。
③ 徒手筋力テスト
上肢の筋力の低下が見られるかを確認する検査です。

 

7.後遺症認定のポイント
① 可動域制限の認定を受けるためには、腱板の断裂がMRI画像などの客観的な資料で確認できることが必要です。
② やっかいなのは、腱板断裂はなくて、棘上筋腱周辺の炎症にとどまる場合です。「肩関節周囲炎」などと診断書に書かれるケースです。この場合、客観的な資料に基づく立証はできませんので、可動域制限は認定されず、痛みが残っている場合には痛みを評価して神経症状として14級となります。

 

文責安藤 誠一郎弁護士紹介

大阪弁護士会所属 
安藤誠一郎法律事務所 代表弁護士

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