- 下肢の障害
脛骨プラトー骨折②~靱帯損傷による動揺関節
1.脛骨プラトー骨折に伴う靱帯の損傷
脛骨プラトー骨折は、膝の関節面の骨折で、骨だけでなく膝まわりの靱帯を損傷することがよくあります。膝回りの靱帯は膝の関節を支える機能を果たすものですので、靱帯を損傷しそれが治りきらないと、膝が前後左右にぐらつく症状が残ることがあります。これを動揺関節といいます。
2.動揺関節の後遺障害認定基準
動揺関節は、自賠責で以下のように認定基準が定められています。
8級・・常に、硬性補装具を必要とするもの
10級・・時々、硬性補装具を必要とするもの
12級・・重檄な労働以外では硬性補装具を必要としないもの(普段は軟性補装具で足りるもの)
3.動揺関節の検査
動揺関節の検査には、主に以下のようなものがあります。
①徒手ストレステスト
医師が患者の膝の部分にストレスをかけ、膝の動揺性をテストするものです。臨床では、もっともポピュラーな検査です。
②MRI撮影
靱帯の損傷を確認・立証するものですが、関節の動揺性が分かるものではありません。
③ストレスX線撮影
膝関節に圧力(ストレス)をかけ、関節にズレを生じさせた状態でレントゲン撮影するものです。ズレが分かるように正しく撮影していただく必要があります。
4.後遺障害獲得のポイント
なぜ膝関節がグラグラするかというと、それは靱帯を損傷しているからです。そこで、まずはMRIで靱帯の損傷を立証します(レントゲンに靱帯は写りませんので、MRIを撮影します。)。
しかし、MRIで靱帯が損傷していることを立証しても、動揺関節を立証したことにはなりません。上記①徒手ストレステストにより動揺の程度を測定していただき、③ストレスX線撮影によりそれを裏付けることが必要です。
自賠責の後遺障害認定では、③ストレスX線撮影の結果が重視されています。
臨床では、①徒手ストレステストがポピュラーで、それだけで十分とされています。③ストレスX線撮影はマイナーで、医師はやりたがらないことが多いです。医師からすれば、自分が動かしてグラグラしている訳ですから、「それで明らかだろう。十分だろう。」と思います。しかし、自賠責は書面審査、画像審査ですので、客観的な証拠が必要で、ストレスレントゲンで実際にずれている画像(一目瞭然ですよね)を欲しがります。
従って、自賠責の後遺障害認定のためにどうしても必要な検査であることを説明し、こちらからお願いしてストレスX線撮影をしていただく必要があります。