- 耳の障害
耳鳴りの後遺障害認定~必要な検査・立証方法、後遺障害の等級
1.耳鳴りの症状
交通事故で頭部等を打撲し、耳鳴りがするようになることがあります。 整形外科しか受診していない場合は、主治医に耳鳴りがあることを伝え、紹介状をもらって耳鼻科を受診してください。
耳鼻科では、まず、症状を伝え、どのような種類の耳鳴りであるのかを特定していきます。問診では、次のように分類していきます。
① 耳鳴りの部位 どこから耳鳴りがするのか
右耳・左耳・両耳・頭皮上・頭蓋内
② 耳鳴りの種類 何種類の耳鳴りがあるのか
右耳・・・1種類・2種類・3種類以上
左耳・・・1種類・2種類・3種類以上
両耳・・・1種類・2種類・3種類以上
③ 耳鳴りの音 どのような音なのか
「ピー」、「シャー」など
④ 耳鳴り音の高低
高い音・低い音・どちらともいえない
⑤ 耳鳴り音の清濁
澄んだ音・濁った音・どちらともいえない
⑥ 耳鳴りの大きさ(5段階)
とても小さい・小さい・中ぐらい・大きい・とても大きい
⑦ 耳鳴りの持続(5段階)
ほとんど鳴らない・たまに鳴る・鳴ったり止まったり・たまに止まる・ほとんど鳴っている
⑧ 耳鳴りの気になり方(5段階)
ほとんど気にならない・仕事中は忘れている・仕事中も時々気になる・気になるが仕事はできる ・気になって仕事が手につかない
⑨ その他
音色が変わるか、大きさが変わるか、耳鳴りで眠れないことがあるか
2.耳鳴りの検査
耳鳴りの症状を伝えたら、次に、検査をして症状を裏付けていきます。町の耳鼻咽喉科で聴力検査のみをして異常なしとして放置されていることが多いです。紹介状を発行していただき、大学病院で耳鳴りの検査を受けることが必要です。
耳鳴りの検査として必須なのは、①ピッチ・マッチ検査と②ラウドネス・バランス検査です。
①ピッチ・マッチ検査は、11周波数の音を聞き、自分の耳鳴りの音に近い周波数を特定していきます。
②ラウドネス・バランス検査では、ピッチ・マッチ検査で得られた周波数を使い、音の感覚的な大きさを音圧、音の大きさ(デシベル)として評価します。
それ以外にも、遮蔽検査、ABR(聴性脳幹反応)などの検査があります。
3.耳鳴りの後遺障害等級
自賠責では、耳鳴りの後遺障害等級を次のように定めています。
12級・・・耳鳴に係る検査により難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるもの
14級・・・難聴に伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できるもの
12級の「耳鳴に係る検査」とは、ピッチ・マッチ検査、ラウドネス・バランス検査などのことで、これらの検査で耳鳴りを裏付けられたものが12級となります。
ピッチ・マッチ検査などで裏付けることはできないものの、症状に一貫性があるなど、耳鳴りがあることが窺われるものが14級となります。