脳挫傷、遷延性意識障害、後遺障害第1級~区役所の生活保護課、病院等を訪問し、治療費の支給、介護認定、介護施設の決定、成年後見の申立など全面的にサポートしたケース

80代女性(独居)

  • 脳障害
  • 後遺障害認定

被害者の意識が戻らない
事故の相手方に資力がない

最終賠償金額 約3050万円
後遺障害等級 第1級

事故状況

 道路上を歩行していたところ、後方から走行してきた原動機付自転車に衝突されました。

受傷内容

 事故により、被害者は、頭蓋底骨折、脳挫傷、外傷性くも膜下出血などの傷害を負い、意識が戻らない状況が続きました。

ご相談の経緯

 被害者は、生活保護を受給しながら、一人で暮らしておられました。

 集中治療室での治療が続き、何百万円という高額な治療費を要する状況でしたが、相手方は、任意保険に加入していませんでした。自賠責保険には加入していましたが、治療費は、自賠責の傷害保険金120万円を優に超える状況でした。

 治療費を出していただけないままに、突然、相手方に弁護士がつき、お金がないので治療費は支払えないと言い渡しました。相手方本人は、病院に見舞いに来ることもありませんでした。

 通常、生活保護を受けている場合、治療費は生活保護でまかなわれるのですが、市役所の生活保護課は、治療費は加害者に支払ってもらうべきものだと主張するばかりでした。

 何日経っても意識が戻らず、治療費が高額となる中、誰からも治療費が支払われないという状況で、息子様は、途方に暮れ、当事務所にご相談、ご依頼いただきました。

受任後の活動

 区役所の訪問、生活保護課との協議

 私は、市役所の生活保護課に行き、事故の相手方に資力がないことを説明し、生活保護で治療費を支払うよう求めました。事故の賠償金が収入認定されることは承知しており、賠償金が支払われたときは市役所に治療費相当額を支払う旨を説明しました。

 その結果、市役所から病院に連絡を入れていただき、生活保護で治療費が支払われることになりました。

 病院訪問、医師面談

   次に、病院を訪問し、医師と面談しました。医師より、脳CT、MRIの画像、意識レベルなどについて説明を受けました。今後、意識が戻る見込みはなく、既に症状固定の状態にあるというご見解でした。

 CT画像上、脳挫傷、くも膜下出血が明らかで、脳室拡大が顕著に見られました。意識レベルは、JCSⅢ-200で、意思疎通は全くできない状態です。

 介護施設の決定、介護認定の申請

 病院はそれほど長く入院させてはくれませんので(通常、3か月程度で退院を求められます。)、移り先を決めなければなりません。

   息子様は、生まれながらに重度の障害を持つお子様の介護に追われており、さらにお母様を引き取り介護することはとても不可能な状況でした。そこで、ケースワーカーと相談しながら、介護療養型医療施設に入所していただくことになりました。 

 入所施設を決めるにあたり、息子様は、いくつも施設の見学に行かれていました。 

  加えて、 介護認定を申請し、要介護4と認定され、施設での負担額の減額を受けました。その結果、施設の費用を最低限度に抑えることができるようになりました。

成年後見の申立

 自賠責に保険金請求するにしても、相手方に損害賠償請求するにしても、被害者に意思能力がありませんので、成年後見人を選任する必要があります。

 当事務所が代理人となり、家庭裁判所に成年後見の申立を行い、息子様が成年後見人に選任されました。

自賠責への後遺障害の申請

 当事務所で、病院より、後遺障害診断書、レントゲン、CT、MRIの画像、診療報酬明細書などを取り付けました。

 成年後見人である息子様が請求者、当事務所が代理人となり、自賠責に後遺障害の申請をしました。

 その結果、遷延性意識障害により後遺障害第1級と認定され、自賠責保険金の支払を受けました。

民事訴訟の提起

 次に、事故の相手方に対し、損害賠償請求訴訟を提起しました。

 訴訟では、治療費、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料に加え、将来の介護費用を請求しました。

 それに対し、相手方は、弁護士を選任して争いましたが、損害賠償を命ずる判決が言い渡されました。

 判決後、相手方の弁護士から連絡があり、判決認容額を分割払いでお支払いただくことで和解が成立しました。

 賠償額は、合計約3050万円(※自賠責保険金、治療費を含む。)となりました。

解決のポイント

 事故の相手方が任意保険に加入しておらず治療費を支払えない、役所も治療費の支払を拒否するという混乱した状況から事件処理に着手しました。息子様は、何をどう進めていけばよいのか全く分からないという状態でした。

 医師と面談して予後を確認し、回復が見込めないことが分かりましたので、施設で安定した生活を送ることができるよう、ケースワーカーと相談しながら受入施設を探しました。そして、成年後見の申立、自賠責への請求、民事訴訟の提起と進めていきました。

 ご高齢で一人暮らし、生活保護を受給、当方にも過失が20%認められるという事案でしたので、賠償については、自賠責からの回収が中心となりました。これで、長期にわたり安心して施設で介護を受けられる目処がつきました。

文責安藤 誠一郎弁護士紹介

大阪弁護士会所属 
安藤誠一郎法律事務所 代表弁護士

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