頚椎捻挫~後遺障害非該当とされたが、異議申立により14級9号が認定された事例
後遺障害非該当
最終賠償金額 約260万円
後遺障害等級 第14級9号
事故の状況
信号待ちのため停止していたところ、後方より走行してきた車両に追突されました。
ノーブレーキでの追突で、車両は、50万円を超える修理費用となる大きな損傷を受けました。
治療経過、保険会社の対応
事故後、首の痛み、右肩の痛みが出現し、病院に通院して治療を受けました。
通院治療を続けていたところ、保険会社の担当者から、頚椎捻挫の治療期間は3か月が目安であるとして、治療を終了するよう求められ、そういうものなのかと思い、事故から約4か月で症状固定の診断を受けました。
身体が辛かったことから、症状固定度も、健康保険を使用し、自費で通院を続けました。
相手方保険会社が段取りし自賠責に事前認定を申請したところ、後遺障害非該当の認定でした。
ご相談、ご依頼の経緯
後遺障害非該当と認定され、異議申立を希望され、当事務所にご依頼いただきました。
弁護士費用特約をご利用いただきました。
自賠責への異議申立
当事務所が代理し自賠責に異議申立を行いました。
異議申立では、主として以下の点を論じ、証拠を添付しました。
〇 追突時の衝撃が大きかったこと~車両の写真、修理費用の明細書
〇 頚部痛、上肢の痛みが一貫して持続していること~カルテ
〇 症状固定後も通院治療を継続していること~カルテ
〇 MRI画像で頚椎椎間板の突出が認められること~MRI画像
異議申立の結果、自賠責の認定が変更され、後遺障害第14級9号と認定されました。
保険会社との示談交渉
自賠責の手続が完了し、保険会社と示談交渉に入りました。
通常は、症状固定までの治療費、症状固定までの期間で計算した入通院慰謝料を損害として計上するのですが、本件では、約4か月という短い期間で症状固定とされましたので、事故から6か月間の治療費、治療期間を6か月として計算した入通院慰謝料請求しました。
交渉した結果、当方の請求に近い金額で示談が成立しました。
賠償額は、約260万円(自賠責保険金を含む。治療費を含まない。)となりました。
解決のポイント
自賠責への異議申立
自賠責がなぜ非該当と認定したのか、まずは、その原因を考えることが必要です。自賠責が非該当と認定したことには理由があるからです。
本件では、原因がはっきりしていました。事故から約4か月で症状固定としており、治療期間が短すぎます。頚椎捻挫、腰椎捻挫の事案で、事故から4か月、5か月という期間で症状固定として後遺障害が認定されたケースを見たことがありません。本件では幸いにして、症状固定後も自費で通院を継続していましたので、カルテを提出することで、事故から長期にわたり治療を受けているにもかかわらず症状が続いていることを明らかにすることができ、後遺障害が認定されました。もし、症状固定後に通院していなければ、異議申立により認定が変更されることはなかったでしょう。症状固定後も自費で通院を続けていることが後遺障害認定に効いてくることは、ままあります。
また、追突被害事故では、自賠責は、車両の損傷状況を重視していますので、車両の写真、修理費用の明細書を入手し添付しました。これも重要です。