頚椎捻挫、後遺障害非該当→異議申立により14級9号
後遺障害非該当
最終賠償金額 約297万円
後遺障害等級 第14級9号
事故の状況
渋滞のため停止していたところ、後方より走行してきた車両に追突されました。
受傷
事故後、首の痛み、手の痺れ、握力低下などの症状が現れました。
治療経過
事故から約6か月の間、病院に通院して治療を受けましたが、首の痛み、手の痺れが続き、症状固定と診断されました。
自賠責の認定~後遺障害非該当
弁護士が代理して自賠責に後遺障害の申請を行ったところ、後遺障害非該当の認定でした。
自信を持っての申請でしたが、予想外の結果でした。たまにこのようなことがあるのですが、このようなケースでは、異議申立をすれば認定が変更されますので、依頼者様に異議申立をすることをお勧めし、ご了解いただきました。
医師面談の実施
異議申立を行うべく、弁護士が主治医と面談を実施しましたが、こんなものが後遺障害になるかといわんばかりの対応でした。
主治医の意見書の文案を作成し提出したところ、記載内容をことごとく否定され、むしろ「頚椎MRIで椎間板の変性は軽度であり、外傷による炎症が治まれば圧迫は軽減し、症状の軽快があると考えられる。」などと後遺障害に否定的な見解が記載された意見書を送ってこられました。
主治医の意見書を添付して異議申立をすることが多いのですが、この意見書を提出して異議申立をする訳にもいきませんので、主治医の意見書を提出しないこととしました。
自賠責へ異議申立~後遺障害第14級の認定
異議申立は、主治医の意見書は添付せず、弁護士の意見書のみで行うこととしました。
幸い、主治医は、カルテにマメに記載する方でしたので、カルテを異議申立書に添付しました。
異議申立書では、頚部痛、右手の痺れが、事故直後から症状固定まで一貫して存在すること、MRI画像でC5/6椎間板が右後方へ突出し神経根を圧迫していること、痺れのある箇所は神経根の支配領域と整合していること等を丁寧に論ずるよう心がけました。
異議申立の結果、認定が変更され、後遺障害第14級9号と認定されました。
保険会社との示談交渉
自賠責の認定手続が終わり、保険会社との示談交渉に入りました。
裁判所基準で損害賠償額を計算して請求し、交渉の結果、当方の請求どおりの金額で示談が成立しました。
賠償額は、約297万円(自賠責保険金を含む。治療費を含まない。)となりました。
ポイント
主治医の協力
通常、異議申立を行う際には主治医の意見書を添付します。主治医の協力が得られるか否かは重要です。
今回の主治医は、非常に非協力的で、むしろ後遺障害に否定的でした。医師の意見書を添付できないのは痛手でしたが、症状の推移、治療経過、画像所見などを丁寧に論じていくことで、後遺障害が認定されました。カルテに症状の推移や所見が丁寧に記載されていたこと、MRI画像で圧迫所見が認められたことが功を奏したと思います。
理解しがたい認定結果
通常であれば、後遺障害が認定されるケースで、自信を持って申請しましたが、非該当の結果でした。
「なぜ認定されなかったのだろう?」と不可解に思うケースでは、異議申立をすれば、多くは後遺障害が認定されますので、あきらめることなく異議申立をした方がよいと思います。