TFCC損傷が後遺障害非該当と認定されたが、異議申立により後遺障害が認定され、適正な賠償を受けたケース
保険会社提示額 29万円
後遺障害非該当
最終賠償金額 670万円
後遺障害等級 第12級
事故状況
バイクで直進走行していたところ、交差点で左折してきた四輪車に巻き込まれて転倒しました。
受傷、症状、治療経過
事故後、左手首の痛みが出現し、TFCC損傷と診断されました
継続的に通院し、消炎鎮痛剤の処方、電気などの治療を受けましたが、手首の痛みが続きました。
自賠責で後遺障害非該当の認定、保険会社の示談提示
症状固定と診断され、相手方保険会社が自賠責に後遺障害の申請(事前認定)をしたところ、後遺障害非該当と認定されました。
自賠責の認定を受け、保険会社より、約29万円の示談提示を受けました。
ご依頼の経緯
自賠責の認定に対する異議申立を希望され、当事務所に、ご相談、ご依頼いただきました。
弁護士費用特約をご利用いただきました。
異議申立により後遺障害が認定
当事務所にて、まずは、病院からカルテ、検査記録などの医療記録を入手しました。
そして、当事務所より、協力医に、医療記録を送り、意見書の作成を依頼しました。意見書作成費用は、弁護士費用特約でまかなわれました。
医療記録、医師の意見書、弁護士の異議申立書を提出して異議申立を行いました。
画像所見が勝負となる事案ですので、異議申立書では、MRI画像の所見として、三角靱帯の信号変化、連続性の途絶、水腫が見られることなどを丁寧に論じていきました。
自賠責の審査の結果、認定が変更され、後遺障害第12級と認定されました。
示談交渉
自賠責の手続が終わり、裁判所基準で損害賠償額を計算し、保険会社に提示しました。保険会社と示談交渉を重ね、納得できる内容で示談が成立しました。
賠償額は、約670万円(治療費を除く。自賠責保険金を含む。)となりました(当方過失:20%)。
解決のポイント
TFCC損傷を立証したことがポイントです。
手首の痛みが残り、TFCC損傷の診断名がついた後遺障害診断書が多くありますが、自賠責がTFCC損傷と認定するのは一部にとどまります。多くは、「画像上、外傷性の異常所見は認め難く・・・」として後遺障害非該当と認定されます。
本件では、事故から約5週間後にMRIが撮影されていたことが決め手となりました。TFCC損傷については、事故から約4週間以内に撮影されたMRI画像が必要となります。受傷してから時間が経てば、MRIでTFCC損傷を示す信号変化が失われていきますので、TFCC損傷が疑われるときは、できる限り早く、MRIを撮影することが重要です。医師から指示が出ないときは、こちらから医師に依頼する必要があります。
そして、本件のように早期に撮影されたMRI画像により異常所見が認められるにも関わらず、初回申請では後遺障害非該当とされることがあります。そのような場合には、医師の意見書、画像鑑定報告書などを添付して異議申立を行うことで、後遺障害が認定される可能性があります。