- むち打ち
後遺障害診断書~こんな診断書は後遺障害非該当になる
むち打ち症で自賠責に後遺障害の等級の認定を申請するときには、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。
自賠責保険の調査事務所は、この後遺障害診断書や画像(レントゲン、CT、MRI)などを元に判断するのですが、「こういう診断書では後遺障害が非該当になる」というものがあります。
1.非該当になる後遺障害診断書の例
傷病名 頸椎捻挫、腰椎捻挫
自覚症状 頚部痛、腰痛 雨の日など、ときに痛む
他覚症状および検査結果 XP(※レントゲンのこと)で異常を認めない、他の神経学的異常所見なし
障害内容の増悪・暖解に見通し 疼痛はしだいに軽快していくものと思われる
2.傷病名
傷病名は「頸椎捻挫、腰椎捻挫」で、これはOKです。
「頸椎捻挫」のところを「外傷性頸部症候群」と記載している場合もありますが、意味は同じです。
3.自覚症状
「雨の日など、ときに痛む」という記載は好ましくありません。後遺障害というためには、症状がある程度は持続的なものであることが必要となりますが、「普段は痛まないけど、たまに痛むことがある」というように解釈され、非該当になりやすくなります。
このような記載になってしまうのは、医師への症状の伝え方に問題があることもあります。実際は「いつも痛むけど、雨の日は特に痛い」というところを、単に「雨の日に痛みます。」、「雨の日はつらいです。」などと医師に伝えてしまうと、「雨の日など、ときに痛む」と書かれてしまいます。
「あんまり大げさにするのも・・」と遠慮せずに、症状をきちんと医師に伝えることが重要です。
4.他覚症状および検査所見
「XPで異常を認めない、他の神経学的異常所見なし」という記載ですが、後遺障害14級は他覚的所見(レントゲン、MRIなどの客観的な資料による裏付け)がないことが前提となっていますので、「XPで異常を認めない」という記載で問題はありません。
ただし、他覚的所見がない場合は、後遺障害12級が認定されることはありません。
5.障害内容の増悪・暖解に見通し
「疼痛はしだいに軽快していくものと思われる」~この記載は致命的です。
「しだいに軽快していくものと思われる」というのは、要するに「そのうち良くなるでしょう」という意味ですので、「後遺障害はありません。」というに等しい(近い)ものです。
「軽快傾向にあった」という記載もよくありません。症状が一貫していないのではないかという疑いを生じさせるものだからです。
このような記載がなされている場合、非該当の結果が出ます。
ここは、「改善の見通しは低い」、「不変」などと記載していただきたいものです。せめて、「不明」、「不詳」などと書いていただきたいところです。