- むち打ち
むち打ち症が12級になるケース
12級が認められるケース
むち打ち症などの神経症状が後遺障害12級に認定されるためには、レントゲン、CT、MRIの画像などといった他覚的所見により神経症状を医学的に証明できることが必要です。症状があっても、それをきちんと立証できなければ12級と認定してもらえませんので、ハードルはなかなか高いです。
むち打ち症が12級に認定されるのは、①MRIの画像で神経根付近に圧迫が認められ、②神経症状の発生箇所との整合性があるケースなどです。MRIを撮ったところ頸椎や腰椎にヘルニアが確認され、深部腱反射、筋萎縮、ジャクソンテスト・スパーリングテストなどの神経学的検査で異常が認められるといった場合です。
ここでいう神経学的な異常とは、首から肩にかけてだるいといった症状ではなく、手足の痺れなどをいいます。
このような場合、ヘルニアが事故前から存在した加齢性のものであったとしても、事故の前には症状がなく普通に生活していたところ、事故にあってから神経症状が現れるようになったのであれば、後遺症12級が認められることがあります。
むち打ち症の話ではありませんが、骨折した後、骨折が変形癒合していてそれが痛みの原因と思われるようなケースでも、変形癒合はレントゲンの画像で確認できますので、神経症状として12級になります。
必要な検査
MRI画像
神経根の圧迫はレントゲンには写りませんので(レントゲンで「推測」できる場合はあります)、頸椎や腰椎MRIを撮影して確認します。下の写真では、頚椎ヘルニアの例で、頸椎の椎間板が後方に突出して神経を圧迫していることが分かります(赤丸の部分)。
神経学的検査
①ストレステスト
よく行われるのは、ジャクソンテスト、スパーリングテストという検査です。これは、頭部を傾斜・後屈させて圧迫を加えるなどして(首を左右・後に曲げて頭を押さえつける)、疼痛やしびれ感が放散するかを確認するものです。
②腱反射
打腱器で叩いて腱反射に異常がないかを調べるものです。腱反射は人間の意思でコントロールすることができませんので、信頼性が高い(=証拠としての価値が高い)検査です。
③筋萎縮
筋力が低下し、長い間使わないと、筋肉がやせ細ってきます。腕回りや足回りの長さを測り、細くなっていたら筋萎縮していると評価します。
④徒手筋力検査
筋力の低下がないかを調べるものです。結果は、0(zero)~5(normal)までの6段階で評価します。
これら画像所見、ストレステスト、反射、知覚、筋力などを総合的に見て整合性があるかどうかがポイントとなります。例えば、頸椎なら手、腰椎ならば足というように、神経根が圧迫されている箇所と神経症状が出現する箇所とが符合しているか、神経学的検査の結果と合致するかが問われます。
検査の依頼 ~ こちらからお願いする
むち打ち症で、主治医の方からMRIを撮りましょうと言ってくださることは少ないです。ヘルニアが見つかったからといって、手術などの積極的な治療が適応となるケースは少ないからです。手足が痺れる、握力が低下しているといった場合には、こちらから主治医に「MRIを撮っていただきたいのですが」と依頼する必要があります。MRIを備えた病院は少ないですので、主治医から紹介状を書いていただき、MRIのある病院に行って撮影してもらいます。
ジャクソンテストやスパーリングテスト、腱反射、筋力検査などについても同様で、やっていただいていない場合には、こちらから主治医にお願いしましょう。
むち打ち症で12級の認定を得るのはなかなかにハードルが高く、コツコツコツコツと立証を積み重ねていく必要があります。